From: "tooru tanaka" <ricepure@jcom.home.ne.jp>
To: "'Kazunori Konishi'" <konishi@jp.apan.net>
Cc: <nishiko@rokuchan.net>
Subject: 鼻くらべ
Date: Wed, 27 Nov 2013 16:46:21 +0900

小西さ ん いつもありがとう

私の鼻 と犬の鼻 ?   長文ですみません。

狩猟に 関しては、何より「犬」の嗅覚、聴覚そして天性の狩猟能力に因るところが90%。
犬と言っても、中には猪の臭いを感じただけでオシッコを漏らしガタガタと震えだす犬が

殆どですよ。

以前に もメールの中で触れましたが「一、犬」「二、足」「三、鉄砲」です。
まず、 猟に使う犬の出来が猟果を大きく左右します。猟能の有る犬の血統を追い、
その子犬を一犬前の猟犬に仕上げるのが苦労であり、この上ない楽しみなのです。

日本犬であれば生後6ヶ月位から、洋犬であれば10ヶ月位から頻繁に山へ連れ出し、

「飼い主と一緒に猟をする事」を分からせます。勝手気ままに遊ぶのではなしに。

獲物の 匂いや気配はそれらが生息している山へ引けばじきに覚えます。
先犬(既に猟を覚え、現に活躍してる犬)と一緒に訓練すれば覚えは格段に速いです。

どんなに遠く離れて追って行っても合図のホラ貝(握り拳位の物を使っています)の音を

聞いた時は自分の匂いをトレースし主人の匂いをたどり主人のもとへ戻ること等を教え込みます。

イノシシに向かってひと声でも掛けるようになった若犬は俗に「一声十万円」と言われる位です。

次に 「足」、健脚であること。
最近は 衰えました。以前は「勢子」と言って犬と共に猪の寝屋目掛けてドンドン歩き、
犬が猪に絡み、鳴き始めると少々のヤブなどお構いなくその方向へ一目散で向かいます。

10年くらい前からその役は若い者がやっています。私は撃ち手に徹しています。

その次 に「鉄砲」と言う事になります。
「たま(弾)が真っすぐ出りゃあ良い」などと言う者が時折いますが、そうしたものでは

有りません。そう言う者に限り失中が多い様です。突き詰めると射撃なるものは奥が深いものです。

    猪狩り、鹿狩りの方法は二通りあって

大方 は、「巻狩り」でやります。麓から尾根筋まで要所要所に撃ち手(当地ではシガキと言う)を
配置し、皆で手分けして見切った昨夜の餌ばみ跡から勢子が犬を放します。寝屋から犬に追われた

猪か鹿はいずれかのシガキに掛かると言う手筈で行います。運と腕が良ければ撃ち止め出来ます。

又、 「単独猟」は一人で一匹か二匹の犬を連れ、ここと思う山の尾根筋を歩きます。
私は50歳前後まではよくやりました。この猟は、犬が猪を寝床から逃がさない様に鳴き止めか、

谷に追い落としそこで噛み止めてくれないと猟になりません。ですから犬の能力が問われます。

鹿につ いては、山際の耕作地跡に朝早く餌食みに出た奴を遠距離射撃で仕留める手が有ります。
この何年かは私はこの射撃にハマっています。遠くて
200250メート ル位かな。
その後皆と巻狩りをやります。

私の鼻 (猟感?)か、はたまた犬のそれか。悩むとこですが。 断然お犬様です。  

    田中 亨   


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